2012年1月6日金曜日

『ランカ Ranka』 (TANSANFABRIK 2011)


ゲームマーケット2011秋に発表された,TANSANFABRIK の新作.

“ランカ”とは,おそらく囲碁の別称“爛柯”のことだと思われる.

そういえば,拙宅の近所にも「囲碁サロン爛柯」なる,おじいさんの吹き溜まりがあって,通りがかる度に,いつか入ってやろうと中を覗き込む習慣があったのを思い出した.

タンサンさんの本拠地,京都には,さぞやたくさんの囲碁サロンがあるのだろう.

遊び方は簡単である……と言うより,まさに囲碁なので,碁盤目でなく三角形のセルに石を打つ姿を想像すればOK.

ただし,勝敗に地の大きさは関係ない.キャプチャーしたピース(即ちアゲハマ)の数を競い,先に5個以上獲得したプレイヤーの勝利である.

それ以外にはプラスもマイナスも無い.慧眼を持っている方は,この要点を聞いただけで,もう体験したと言って良いくらいだろう……と,高をくくっていた小生は,慧眼を持つにも関わらず(?)囲碁に真っ暗なY氏相手に,連敗を喫するのであった!




【1局目】
青が先手,白(銀?)が後手である.
六角形の盤はギプフを思い出させる,実にアブストラクティー(※アブストラクトゲームっぽいの意)な面持ち.
白手番である.
そして,白4つはもう死んでいる.
逃げ道らしきセルが一箇所あるが,呼吸点は増えず,むしろ5個死にで一発KOとなる.

この場面の白は,4つ死にで免れるが,このまま押されて青の勝利.



【2局目】
先手後手を交代して,もう一局.
迂闊に接触してはいけないと学習し,お互い,チクチクとライン状に伸ばす.

青が,ちょっと欲を出すも,白はラインを補強して冷静に対処.
せっかちな青は,辛抱しきれずに攻撃続行.壁の向こうに飛び込む.

中央の白1つを左の白3つと接がせて,出来上がる白5つの塊を一網打尽にしようという腹積もりである.
そして,あえなく失敗に終わる.
白の勝利.









【3局目】

白は,とにかく外側から囲い込む作戦.

青は厚く構え,取られまいとする.下の方には今までで最大の,10個から成るクラスターが出来上がっている.
当然,これが死ねば,青の敗北となる.
が,壁を食い破って青の勝利.

正直,巨大クラスターは殺せる気がしなかった……ということは?







【4局目】

ここまで遊んで辿り着いた強プレー.
名付けて「ヘビとトゲトゲ作戦」.実践しているのは青.

盤の外周に角を向けて置かれているピースが“トゲトゲ”だ.このピースは,隣に相手のピースが置かれても,すぐに囲んで取ってしまえる.

“トゲトゲ”の一つから伸びている大きなクラスターが“ヘビ”.やはり,大きい塊は囲まれにくく強い.そして,呼吸点を稼ぐために,なるべく細長い方が良い.

案の定,青の勝利.

ここにきて,ようやく「地を作るゲームではない」ということがどういうことか理解した.

取られにくく強いクラスターを作ろうと考えるとき,囲碁ならば地をつぶしてしまうことはデメリットであるが,ランカの場合,“単純に良い手”になるのだ.
もしかしたら,一つのクラスターを延々と大きく成長させていけば,決して取られることなく,負けないのかもしらん.
検証していないので,現状はイチャモンでしかないが,簡単な非敗法の匂いを感じる(デバッグされていることを期待).

つまり,囲碁とは完全に別のゲームとして成り立っている!
と言えるし,囲碁らしさが,まったく残っていない!
とも言える.
結局,ランカの評価は,ゲームデザインのテーマに拠ることだろう.
囲碁を下敷きに新作を作ろうと言うのであれば,成功しているし,囲碁の入門ゲームを作ろうと言うのであれば,失敗している(なにしろ,教育用として九路盤を越えるのは至難である).

と,好き勝手言ってみたが,所詮は4回遊んだ程度の考察なので,あまり真に受けないで欲しい.
そして,5回目遊んだ後は,まったく違う見方が見つかるかもしれないのだ.


おまけ:1月5日はゴロ合わせで,囲碁の日だったらしいぞー.
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