2013年3月26日火曜日

Vorpalsに学ぶ2つの“連鎖”の重要性

Vorpalsには2つの“連鎖”がある.

経年と戦争である.

経年はユニットを1ラウンド先にだけ存在させる.これは縦の連鎖といえる.

戦争は1つ隣りのプレイヤーとだけ競わせる.これは横の連鎖といえる.

DSC_0021

 

連鎖というのは,ある事柄の影響が1つ隣りに伝わり,その影響がまた次に伝わることである.

ここで大事なのは,ある事柄は元々1つ隣りへの影響しか既定されていない,にもかかわらず,あたかも全ての元凶のようになっていることである.

 

横の連鎖は,いわゆるインタラクション性(*)に関わる.

アイツがああしたから,自分がこうなった.アイツをこうしたいから,自分はこうする.このようにして,戦術(*)が生まれる.

戦争において向かいのプレイヤーとは直接争うことはないが,結局はそのプレイヤーを考慮することになる.なぜなら,隣りのプレイヤーはさらに隣りのプレイヤーを考慮しながら自分と争うからである.

 

縦の連鎖は,いわゆる戦略性(*)に関わる.

さっきああしたから,今こうなった.後でこうしたいから,今は我慢してこうする.このように,各時間で生み出される戦術が時間的に結ばれることで戦略(*)が生まれる.

経年はユニットを1ラウンドだけ持続させるため,次のラウンドで選ぶユニットに対して確実に影響を与える.そこで選んだユニットはその次のラウンドの選択に影響を与える.それこそ捨てラウンドにでもしない限り.

 

インタラクション性は,もちろん横の連鎖のみから生まれるわけではない.しかし,ゲームメカニクスを考える上で,2者間(1対1)の関わりだけ考えることに比べ,3者間以上の関わりを考えることは格段に難しい.「三人寄れば文殊の知恵」なのであり,2人以上も他人がいると考慮すべきことが格段に多くなる.

ゲームで遊ぶ以上他人と関わらないのは面白くない.関わりが強すぎてもややこしい.これらの間を上手くとっているのが,必ず全体に波及する連鎖のシステムなのである.

戦略性も同様である.例えば,ユニットの寿命を個別に設定することを考えたとき,どのようにバランスをとればいいのか?途方もない時間をかけてテストを積み重ねること以外になにか良策はあるのだろうか??

 

 

ここからは私の持論.

ゲームは次の性質から成り立っていると考えている.それは,「インタラクション性」,「ランダム性」,そしてそれらが縦方向に繋がって生まれる「戦略性」である.

この性質の内の2つを“連鎖”という形をとって,実際のシステムとして表現,構築したVorpalsは,(一つの手は結局全体に影響するため)全てを読みつくそうというツワモノでも満足できる奥深さを持ちながらも,(とりあえず隣りや次のことだけを考えればいいため)ライトなゲーマーでも十分に楽しむことができる,素晴らしい作品であるだけでなく,ゲーム制作のお手本とすべくゲームだと思います.

 

というわけで,「Vorpals」として表現された内容の良さというよりも,骨格の造りの良さを褒めたく,さらには「みんな真似するべき!」という思いからこういった形のレビューを書きました.

内容はありきたりな気もするので,どこかで同じようなことが書かれているかもしれません.あしからず.あと,この話題のためにボードゲーム全体を俯瞰してVorpalsを選んだのではなく,Vorpalsを考えていたら話題になっただけですので,全く同じことが言えるゲームが他にもあるかと思います.

 

最後に,誰もがご存じ

様のレビュー記事では,きめ細かな説明(写真付き!)とレビュー(プレイ記付き!)に加えて最後に,「運」「思考性」「パーティ」「ソロプレイ」というグラフが載せられているのですが,これが丁度私のいう3つの性質と非常に関係が深いと感じており,個人的に最も参考になるボドゲレビューの1つであると確信させてくれます.

 

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(*)に関して,申し訳ないですがここでは定義はしません.

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